ストックオプション / Stock Option

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定義

ストックオプションとは、「自分の会社の株式を将来ある一定の値段で買う権利」のことであり、Call Option の一種である(日本語では「新株予約権」の一つの形態(商法改正により2002年4月1日施行))。

会社はこの権利を無償で従業員にあたえます。

将来、会社が成長して株価が上昇すれば、この Call Option を利用して安い値段で株式を購入することができるので、それを市場価格で売却することにより、その差額を得ることができる。逆に株価が Excercise Price より安いままであれば、権利を放棄すれば良い。

株価が上がれば、Option を有している者の利益が上がるため、労働意欲を上げることができる。特に資金の少ないベンチャー企業では、報酬をこの Option の形で与えることにより、優秀な人材の確保・インセンティブとなるため、重宝されている制度である。


Stock Option と株価の関係

Valuation においても見たように、株式発行総数を考慮せずに株価を評価するのはナンセンスであることは分かるが、Stock Option を考慮するとどうなるのだろうか?

具体的に考えてみる。
会社価値(株式時価総額)が1億円の会社が1万株の株式を発行した場合、この会社の株価は

1億円 / 1万株 = 1万円

となる。

このとき、会社が Stock Option として 5,000円で自社株購入可能なものを1万株配っていた場合、どうなるか?

株式公開をして1万円という株価がつくのであるから、従業員はその権利をすぐ行使するだろう。会社価値は株式の売却分(5,000万円)増加し、株式発行総数は2万枚になるのであるから、この会社の株価は

1億5,000万円 / 2万株 = 7,500円

となる。これでは1万円で株を購入する人はいないだろう。
潜在的な株式発行総数ということで、Stock Option も含め、2万株とすると、

1億円 / 2万株 = 5,000円

となり、Option を行使するメリットがないので、権利を放棄するだろう。そうすると、株式発行総数は2万株とならず、正当な株価とは言えない。

以上のように、Stock Option を導入している会社の場合、Option の Excercise Price, 行使期間、会社価値に対する見通し、等々を考慮しなければ、「株式発行総数は何株か?」という問いの答にはならない。


Stock Option と似たもの

Stock Option と同様の原理のものは他にも「転換社債」や「ワラント付社債」などがある。

それらは次のような特徴を持つ。

  • 転換社債:
    金利がついていて償還日に元本が返ってくる社債。
    一定の条件の下で株式に「転換」できる有価証券のこと。
  • ワラント付社債:
    満期日に償還される普通の社債だが、ストックオプションと同じく株式を一定価格で購入する権利がついてくるもの。

これらの社債は投資家にとって魅力的なものであるため、社債の利率を低く抑えることができる。そのため、会社は資金を低金利で調達するため、このような形で社債を発行することがある。

転換社債もワラント付社債も、株価が上昇した際に、株式発行総数を増やして株価上昇を抑える効果があることは Stock Option と同じである。

株価分析の際には、これらの Stock Option株数の増加を伴う社債が悩みの種。
「株価=会社価値/株式発行総数」という式が簡単には使えなくなるから。

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